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4月5日の日経夕刊に「成年後見人なり手不足に対策 制度大幅見直し 」の記事が掲載れました。
現在政府は、介護保険利用者数(約618万人)に対して、成年後見制度利用者数は約18万人と少ない現状にある。また、認知症高齢者(推定460万人)からみても、成年後見利用者数は大変少ない状況にある。
政府の対応
まず、成年後見人の職務(権限)が拡大される予定である。一つは「死後事務」、もう一つは「郵便物の管理」となっている。
●死後事務:成年後見人の業務は、成年被後見人(サポートされる人)の死亡によって、職務が終了する。しかし被後見人に親しい親族がいないなどの場合、法的根拠が曖昧のまま、成年後見人が火葬・葬儀手続き・各種支払いを行うこともあった。
●郵便物の管理:成年被後見人(サポートされる人)宛の手紙を受け取る・開封することに法的根拠が無かった。その為、支払いなど重要な手続きを気づかない場合などがあった。
これらは、成年後見制度開始から問題とされていたが、ようやく今回の国会で改正される見込みとなった。
今後の改正は?
政府は更に成年後見制度の利用を促すため、以下の基本方針に基づき施策を行う予定である。
①成年後見制度の3類型が適切に選択されるための方策を検討
成年後見制度には、本人の判断能力によって「後見」「保佐」「補助」の3類型があるが、「保佐」「補助」の利用が少なく、これらの利用促進するための、方策を検討し必要な措置をとることとした。
②権利制限に係る制度の見直し
現在、成年被後見人(サポートされる人)になると、株式会社の取締役になれない等の本人にとっての不利益となる制限が数多くある。これらの緩和が予定されている。
③成年被後見人(サポートされる人)等であって医療、介護等を受けるに当たり意志を決定することが困難なものの支援
身寄りのいない成年被後見人(サポートされる人)であって、医療、介護等を受けるに当たり意志を決定することが困難な人がいる場合も多々ある。現在の法律解釈では、成年後見人にその医療等を受ける意志の代理権がないため、医療現場等では混乱が生じている。そこで、家庭裁判所を中心にどのような措置が必要かを検討する。
④成年被後見人(サポートされる人)等の死亡後における成年後見人等の事務の範囲の見直し
成年後見人の業務は、成年被後見人(サポートされる人)の死亡によって、職務が終了する。しかし被後見人に親しい親族がいないなどの場合、法的根拠が曖昧のまま、成年後見人が火葬・葬儀手続き・各種支払いを行うこともあった。そこでこれらの事務に法的根拠を与え、適切に事務ができるようする予定。
⑤任意後見制度の積極的な活用
成年後見制度は「法定後見(後見、保佐、補助)」を「任意後見」の大きく二つに分けられる。「法定後見」では、後見人等が家庭裁判所の権限で選任されるが、「任意後見」であれば本人の望んだ人が後見人に選任することも可能となっている。そこで、本人の自発的意思を尊重する観点から、「任意後見」を積極的に利用するように必要的な措置をとる。
⑥国民に対する周知
成年後見制度を利用すべき人も、利用していない現状である。そこでより成年後見制度を国民に周知することにより、制度の利用を必要とする人に十分に利用されるために必要な措置をとる。
これらの改革は、成年後見制度をより普及させていくために必要なものであり、早期の法律改正が望まれます。
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