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本日(平成28年8月15日)の日経に興味深い記事がありました。
「認知症患者の資産管理」の記事です。
高齢化で急増する認知症患者の資産管理に対応するため、銀行や保険会社が相次いで金融商品を開発している。治療費を保障する保険のほか、不用意な出費や詐欺などを防ぐため、資産を自由に解約できなくする「金庫型」の商品も登場した。認知症患者の金融資産が100兆円に迫るなかで、運用や相続と異なる金融機関の新たな市場が生まれつつある。
「金庫型」の商品?
非常に気になりましたので、記事で紹介されていた三菱UFJ信託銀行のHPで商品を確認いたしました。
まず「信託金額」です。
1,000万円以上
•上限金額はございません。
•追加のご入金も可能です。
ですので、それなりに資産をお持ちでなければ利用できません。
次に「払出し手続き」です。これがこの商品の特徴となります。
「有料老人ホーム等施設の入居一時金」、「10万円以上の医療費(1件あたり)」についてのみ払出しができます。払出しにあたっては、所定の要件を充たす請求書が必要です。
ご本人さままたは受益者代理人さまのいずれかお一人による払出し請求が可能です。
なお、支払方法については老人ホーム・病院等への直接の振込みに限定いたします。
現金での払出しはできません。
要は、一人では簡単に降ろせないという事です。
そして「信託報酬」は
①管理報酬:無料
②運用報酬:ご資金は元本保証の金銭信託5年もの(5年経過時には自動延長)にて運用・管理いたします。
3月・9月の各25日および信託期間満了日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額(予定配当率と信託金の元本により計算される額)等を差し引いた金額となります。
となっておりますので、元本から減る事はない仕組みとなっています。
有益な商品?
まず確認しておきたいことがあります。それは、認知症が始まってからはこの商品は締結できない可能性が高い事です。この商品は信託銀行との契約ですので、認知症となり判断能力が欠けた場合、当該本人は契約当事者となることができなくなってしまうためです。
さてこの商品ですが、私としては、解約条件が「有料老人ホーム等施設の入居一時金」、「10万円以上の医療費(1件あたり)」の二つしかないのはあまりにリスクが高いのではと思います。仮に子や孫の新築祝いや入学祝いにもお金を渡すことができなくなってしまいます。もちろんそれでもかまわない人は、よろしいかと思いますが、長い老後の人生、何にお金が必要となるかわかりません。
どうしても、自身の財産や親の財産が心配の場合は、任意後見契約を活用すれば良いのではないでしょうか?
また「金庫型」と違って、認知症患者が事故などを起こして相手から損害賠償請求があった場合に補償する保険の紹介がありましたが、こちらは非常に有益かと思います。
任意後見・成年後見契約などで疑問がありましたらお気軽に司法書士法人武田事務所までお問い合わせください。
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