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夫婦の養子縁組と未成年者の養子縁組

2017年9月19日

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得します(民法809条)。養子は、養親の実子と兄弟姉妹関係となり、同じ第一順位の相続権を持つことになります。また、実親との関係でも子として第一順位の相続権を持ちます。したがって、養子は、実親及び養親の両方に対し、第一順位の相続権を持つことになります。
※特別養子縁組を除く(民法817条の2~)

養親側が夫婦である場合

子が成年者

夫婦が共同で養子縁組であっても、夫婦一方だけが単独で養子縁組するこができます。ただし、単独で養子縁組するときは、他方の配偶者の同意が必要となります。(※配偶者が意思表示できない場合を除く)

子が未成年者

養子が未成年者である場合は、子の福祉を増進するため、夫婦共同で養子縁組をしなければなりません(民法795条本文)。ただし、配偶者の嫡出子を養子とする場合及び配偶者が意思表示できない場合は、夫婦の一方が単独で養子縁組することができます(民法795条但書)。具体的には次のようになります。

単独縁組が認められる場合

共同縁組をすべき場合


Aは自分の実子Cを養子とすることなりますが、AC間の親子関係と、BC間の親子関係をともに摘出親子関係とする実益があります。また、夫婦共同で養子縁組をするため、相互に他方の同意は不要となります。

未成年者を養子とする場合

未成年者を養子とする場合、原則として、家庭裁判所の許可が必要となります(民法798条本文)。法定代理人による代諾縁組の場合であっても必要となります。これは、未成年者の福祉を守る目的で設けれた法律となります。
ただし、「自己」又は「配偶者の直系卑属」を養子とする場合は、家庭裁判所の許可は不要となっております(民法798条但書)。具体的には、先述の「共同縁組をすべき場合」や「祖父が孫を養子とする」などが、想定されます。

養子側が夫婦である場合

夫婦が共同で養子となることもできますし、夫婦一方だけが単独で養子となることもできます。ただし、夫婦一方だけが単独で養子となる場合は、他方の配偶者の同意が必要となります。(※配偶者が意思表示できない場合を除く)

夫婦の一方が養子縁組をした時の氏

養子は縁組によって養親の氏を称しなければなりません(民法810条本文)。しかし例外として、婚姻によって氏を改めた者は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間(婚姻中)は、この限りではないとされました(民法810条但書)。これは「養親子同氏の原則」と「夫婦同氏の原則」の調整を図った法律となります。具体的にはつぎのようになります。

(1)太郎・花子ともに田中一郎と共同縁組とする場合
太郎・花子とも、氏が「山田」から「田中」に変わります(民法810条本文)。
(2)太郎が単独で縁組する場合(花子の同意が必要)
太郎・花子とも、氏が「山田」から「田中」に変わります。
(3)花子が単独で縁組する場合(太郎の同意が必要)
「養親子同氏の原則」の例外として、太郎と婚姻中は、「山田」のままで氏は変わらない(民法810条但書)。なお、太郎と花子が離婚した場合、あるいは太郎の死亡後に、生存配偶者の復氏(民法751条)を行った場合、花子の氏は「田中」となります。

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