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- 消費税10%再延期決断!
6月1日に安倍首相は記者会見を行い、正式に消費税10%引き上げを2年半延期する考えを表明した。
前回の記事でも書きましたが、平成27年の消費税(8%)の徴収額は17.1兆円で、消費税1%に換算すると約2兆1,300億円となる。その為今回の2%の税率引き上げ延期で約4兆2,600億円の税収が入ってこなくなる。
そこでお金持ちにその税収不足分を補ってもらおうという趣旨で前回は「資産」を多く持っている人に課税できないかを取り上げました。
今回は、「所得」が多い人に課税ができるかを考えてみましょう。
所得に対する課税
所得に対する課税として、所得税があります。これは累進課税制度となっており下記のように所得の多い人がより多くの税金を負担する仕組みとなっております。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4.000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、所得が300万円の人の年額所得税は300万円×10%-97,500円の202,500円となります。これに対して所得が1,200万円の人の年額所得税は1200万円×33%-1,536,000円の2,424,000円となります。所得は4倍となりましたが、年額所得税は約12倍にもなりました。
平成26年度の所得税について
次に年間所得税額どれくらいで、どような所得の人が所得税を納めているか確認してみましょう。
平成26年度給与階級別の給与所得者数、及び税額
区分 | 給与取得者数 | 納付税額 | ||||
内納税者 | ||||||
年間所得 | 人数(千人) | 構成比 | 人数(千人) | 構成比 | 総額(億円) | 構成比 |
100万円以下 | 4,178 | 8.8% | 562 | 1.4% | 98 | 0.1% |
100万円超 200万円以下 |
7,214 | 15.2% | 5,337 | 13.3% | 1,050 | 1.2% |
200万円超 300万円以下 |
8,029 | 16.9% | 7,565 | 18.8% | 3,281 | 3.9% |
300万円超 400万円以下 |
8,241 | 17.3% | 7,852 | 19.5% | 5,283 | 6.2% |
400万円超 500万円以下 |
6,633 | 13.9% | 6,182 | 15.4% | 6,039 | 7.1% |
500万円超 600万円以下 |
4,502 | 9.5% | 4,171 | 10.4% | 6,141 | 7.2% |
600万円超 700万円以下 |
2,804 | 5.9% | 2,670 | 6.6% | 5,325 | 6.3% |
700万円超 800万円以下 |
1,896 | 4.0% | 1,861 | 4.6% | 5,654 | 6.6% |
800万円超 900万円以下 |
1,250 | 2.6% | 1,244 | 3.1% | 5,510 | 6.5% |
900万円超 1,000万円以下 |
821 | 1.7% | 821 | 2.0% | 4,965 | 5.8% |
1,000万円超 1,500万円以下 |
1,483 | 3.1% | 1,483 | 3.7% | 16,079 | 18.9% |
1,500万円超 2,000万円以下 |
306 | 0.6% | 306 | 0.8% | 8,040 | 9.4% |
2,000万円超 2,500万円以下 |
95 | 0.2% | 95 | 0.2% | 4,314 | 5.1% |
2,500万円超 | 111 | 0.2% | 111 | 0.3% | 13,344 | 15.7% |
合計 | 47,563 | 40,260 | 85,123 |
国税庁「民間給与実態統計調査」を基に作成
一番右下の納付税額の合計8兆5,123億円が平成26年度に国に入った所得税総額となります。
所得が400万円以下の人の納税者は全体の53%と大きな割合ですが、所得税の支払いは総額の9,712億円(11.4%)となります。
これに対して所得が1000万円超の人の納税者は全体の4.1%にすぎませんが、所得税総額の4兆1,777億円(約49%)を支払っています。
俗にいう高額所得者(所得1,000万円超)は、既に税金を多額に納付していることがわかります。
所得税率は上げられるか?
このような状態で、消費税減収分約4兆2,600億円を所得税で穴埋めしようとすると、単純に所得税率を1.5倍すればいいことになります。しかしその場合、所得の低い人は所得税負担が重くなり、所得の高い人にとっては最高税率67.5%と思わず海外に脱出したくなるような税率となってしまいます。まぁ昭和の頃の最高税率は70%を超えていた時代もありましたが…
しかし、消費税分をまるまる所得税増税に頼らず1兆円ほどの増税にするのであれば、所得税率を1.12倍程で済む計算となりますので、なんとかできそうな気がします。もちろんその1兆円をどう活用するかによって反対・賛成にもなりますが。
最後に、所得税は現役世代にかかる税金で、消費税は現役世代・年金世代ともにかかる平等な税だと私は思っております。少子高齢化の日本で所得税に頼っていては先が見えています。今回の消費税再延期は政治判断でしたが、次回の延期期日は延長すべきでないと私は考えております。
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