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- 相続
- 家督相続の開始原因
相続は人の死亡によって開始することはどなたもご存知だと思います。死亡の他に相続が発生することがあるでしょうか。
現在の法律では、相続の開始は死亡のみです。
民法 第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
しかし、旧民法の「戸主」の家督相続は5つの原因がありました。
①戸主の死亡(旧民法964条1号)
今と同じで分かりやすい原因です。
②戸主の隠居(旧民法752条、964条1号)
男性は満60歳以上、女性は年齢制限なしで隠居をすることができました。
昔の大名などをイメージすると分かりやすいかもしれません。
③戸主の国籍喪失(旧民法964条1号)
戸主以外の家族の場合は、国籍喪失をしても遺産相続とはなりませんでした。
当然、現在の民法でも国籍喪失は相続の開始要件とはなっていません。
④戸主の婚姻又は養子縁組の取消しによる去家(旧民法964条2号)
戸主が婚姻又は養子縁組によってその戸籍(家)に入った場合、当該婚姻又は養子縁組が取り消されると、その戸籍(家)から去っていきますので、家督相続が発生します。
⑤女戸主の入夫婚姻又は入夫の離婚(旧民法964条3号)
女性の戸主が婚姻して夫が妻の戸籍(家)に入る婚姻のことを入夫婚姻といいました。この場合、当事者が反対の意思表示をしない限り、入夫した男性がその戸籍(家)の戸主となることとなっていました。入夫した夫が戸主となった場合は、従前の女戸主は家族となります。
また、入夫した戸主が離婚すると、入夫した男性はその戸籍(家)を去りますので、家督相続が発生します。
②から⑤は現行の制度には全くないので違和感はありますが、戸主を中心とする「家」の制度には必要だったのかもしれません。その時代時代で法律が変わっていくことがよく分かります。
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