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生前の贈与は不公平?

2015年5月23日

例えば、被相続人Xが、4,000万円の財産を残して亡くなった場合。

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法定相続分は、配偶者Yが1/2で2,000万円、子らは各1/8で各500万円となります。

 

しかしXが、子Aに600万円、子Bに400万円を生前に贈与していた場合どうでしょうか?

上記の法定相続分で分けると、配偶者Yと子C、子Dは不公平に感じるのではないででしょうか?

このような不公平感をなくすために、民法は903条で特別受益という制度を定めています。

第903条(特別受益者の相続分)

  1. 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

これは、共同相続人間の公平を図ることを目的に、特別な受益(遺贈・贈与)を相続分の前渡しとみて、それらの財産を一度相続財産に持ち戻して、法定相続分の算定をする制度です。

■算定方法

①まず「みなし相続財産」を確定

「相続時の財産」と「生前に相続人が受けた贈与財産」を加算して算出します。

②一応の相続分を算定

「みなし相続財産」を基礎にした上で、各共同相続人の法定相続分に乗じて、一応の相続分を算定。

③特別受益分の控除

特別受益を受けた者は、一応の相続分から特別受益分を控除して、相続時に受ける相続分を算定。特別受益を受けていない相続人は、②の一応の相続分が相続時に受ける相続分となります。

■具体例

冒頭の例で算定すると、

①みなし相続財産

4,000万円(相続財産)+1,000万円(生前贈与財産)=5,000万円

②各相続人の相続分に乗じた額(一応の相続分)

配偶者Y:5,000万円×1/2=2,500万円

子A,B,C,D:5,000万円×1/2×1/4=625万円

③具体的相続分(相続時に受ける相続財産)

配偶者Y:1,500万円

子A:625万円-600万円=25万円

子B:625万円-400万円=225万円

子C,D:各625万円

となります。子Aと子Bの相続財産が減っていることが分かります。

 

もちろん、遺産分割においては、相続人全員が同意すれば、どのように配分しても構いません。

しかし、生前の贈与によって不公平が生じるような場合、このような方法を取ることも出来ます。

 

 

 

 

 

 

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