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相続分野の改正民法成立(遺言制度・遺言保管について)

2018年7月10日

相続分野の規定を約40年ぶりに見直す改正民法など関連法が7月6日、参院本会議で可決、成立しました。

この度の大きな改正点は以下のとおり

1)配偶者の居住の権利
2)遺産分割等に関する見直し
3)遺言制度に関する見直し
4)遺留分制度の見直し
5)相続の効力等に関する見直し
6)特別の寄与

併せて、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」も、同日、参院本会議で可決、成立しました。

今回は、「3)遺言制度に関する見直し」と、「法務局における遺言書の保管」について解説をします。

遺言制度の見直し

普通の方式の遺言は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三通りあります。

ア)自筆証書遺言→一定のルールのもと自筆で遺言を作成。
イ)公正証書遺言→公証人が遺言を作成。遺言は、公証役場で保管される。
ウ)秘密証書遺言→本人が作成した遺言の内容を秘密にして、公証役場に「存在」のみを証明してもらう。

今回の改正は、ア)自筆証書遺言です。

■改正点①方式の緩和

自筆証書遺言は、民法968条で作成方法が厳格に定めれらていました。

第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

遺言には、遺言作成者の財産目録を添付することが一般的ですが、この財産目録を手書きで書くことは一苦労でした。
そこで今回の改正では、この目録に関しては手書きでなくてもよい事となりました。(改正民法968条第2項)
つまり、目録をパソコン等で作成することも可能となったのです。

改正民法968条2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

■改正点②遺言執行者権限の任務開始

遺言を作成しても、誰かがその遺言内容を遂行しなければ、遺言は絵に描いた餅になります。
その為、遺言内容の遂行者として、「遺言執行者」を指定することが一般的です。
遺言執行者は、遺言内容を遂行しますが、これまでは相続人対し「遺言の内容」、「任務開始」を通知する必要はありませんでした。
その為、相続人が知らない間に遺言内容が遂行されることが多々ありました。
※相続財産目録に関しては、以前から相続人に交付する必要がありました。(民法1011条第1項)

そこで、今回の改正では、遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならないとされました。(改正民法1007条)

法務局における遺言書の保管について

■本法律ができた背景

そもそも遺言には、相続をめぐる紛争を防止する効力があります。
そのため、政府としては、多くの方に遺言を作成して頂き、紛争を未然に防ぎたいと考えていました。

遺言の作成方法には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三通り(普通の方式のみ)あります。
この中で、一番信頼できる遺言とされているのが「公正証書遺言」とされています。

「公正証書遺言」は、作成時に公証人の内容のチェックを受けるため、遺言が全く使用できないことは、ほぼ有り得ません。
また、遺言の内容が全てが公証役場に保管されているため、改ざんの恐れもなく、仮に紛失したとしても再発行することも可能です。
更に、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」は、作成者死亡後に遺言検認手続き(約1か月から2か月)を経なければ、実行できませんが、「公正証書遺言」は、遺言検認手続きを経ることなく直に遺言の実行ができます。

このように「公正証書遺言」にはメリットが多くあるため、ほぼ年々作成者数が増加しています。

※日本公証人連合会統計より

しかし、年に約134万人死亡(平成29年度)していることを考えると、まだまだ遺言作成の件数が少ないのではないでしょうか。
※平成29年度死亡者数約134万人に対し、平成29年度公正証書遺言作成数約11万件。

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の保管所

遺言書保管書は、法務大臣の指定する法務局とされています。(第2条)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の保管の申請

①法務省令で定める様式に従って作成(法4条2項)→自署とは法律には記載が無いため、PC等で作成も可能になるかもしれません。
②封印の有無→無封とされています。(法4条2項)
③申請先→遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管書(法4条3項)
④遺言の記載事項(法4条4項)
一 遺言書に記載されている作成の年月日
二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ受遺者
ロ民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者
⑤添付書類→遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)を証明する書類等。(法4条5項)
⑥法務局へ行く者→遺言作成者自ら出頭しなければならない。(法4条6項)その為、代理人のみが法務局に行って申請することはできません。
⑦遺言申請者の本人確認あり(法5条)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の保管等

①遺言作成者はいつでも当該遺言者の閲覧請求ができる。(法6条2項)。ただし自ら出頭しなければならない。(法6条4項)
②政令で定める期間保管される。(法6条5項)2018.7.10現在期間は未定です。
③保管方法→磁気ディスクに保管される(法7条2項)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の交付等

①遺言者の死亡後は相続人等が遺言書(遺言情報証明書)の交付を請求できる。(法9条1項)
②上記請求は、現に遺言書(遺言情報証明書)を保管する法務局以外の法務局に対しても請求できる。(法9条2項)
③関係相続人等は、遺言書(遺言情報証明書)を保管する法務局以外に、当該関係遺言書の閲覧請求ができる。(法9条3項)
④法務局は、遺言書(遺言情報証明書)を交付又は閲覧させた場合は、相続人等に通知する。(法9条5項)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)保管事実証明書の交付

①何人も法務局に対し関係遺言書の保管の有無についての交付を請求することができる。(法10条)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の検認

①法務局に保管されている遺言書については、検認不要。(法11条)

■本法律に基づく遺言書(遺言情報証明書)の手続き費用

政令で定める。(法12条)
新聞報道等では何千円とされいます。公正証書遺言の作成費用が数万円かかる事を考えると安価と思われます。

■本制度の施行時期は

交付の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日とされていますので、施行にはしばらく時間がかかるかも知れません。

■本制度は利用できるのか?

①内容の法的チェック→法務局の遺言者保管官が中身を確認する為、作成し保管したが全く使用できない事態は無いかと思われます。
②保管(紛失・改ざん等の恐れ)→法務局で、遺言書(遺言情報証明書)が保管されるため、紛失・改ざんの恐れはありません。
③費用→おそらく公正証書遺言よりも安価になると思われます。
④遺言検認→公正証書遺言と同じく不要となります。
こう考えますと、本制度は使える制度と考えますが、公正証書遺言作成時の公証人と同じく、遺言者保管官の資質が重要になってくると考えられます。

遺言を作成している場合としていない場合では、相続手続きのスピードが段違いに代わりますので、本制度を利用するかしないかに関わらず遺言の作成をお勧めいたします。
遺言作成についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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