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- 財産はお前に任せる
6人兄弟のA さんは結婚をしておらず、子供もいませんでした。兄弟のうち3人はすでに他界しています。そのような状況で、Aさんは癌で入院することになりました。
そこで一番仲の良かったBさんがAさんの身の回りの世話を行い、身元引受人にもなりました。
BさんがAさんの病院に行く度に、昔話が盛り上がり、AさんはBさんに「財産はお前に任せるから好きに使ってくれ」と何度も言っていました。一緒にお見舞いにきたCさん、Gさんも聞いていました。Bさんは、Aさんに遺言を書いて貰おうと思いましたが、なかなか言い出せずにAさんは他界してしまいました。
Aさんの葬儀等が無事終わり、相続人間で財産の話になりました。Bさんは「Aは生前私に財産を任せると言っていました。また、生前に一番世話をしたのは私ですので、本来であれば全財産を私が相続するところですが、皆様にも幾らか相続財産を分けたいと思いますので、私が8割相続して、残りの2割を4人で分割してはいかがでしょうか」と提案しました。
Aさんの意思を聞いていたCさん、Gさんは了承しましたが、全く親交のなかったHさんとIさんは「Bの提案だと私たちの取り分は各20分の1になってしまう。私たちは、法定相続分である各8分の1を請求します」と猛反対しました。
Bさんは、HさんとIさんに「Aと一度も会ったことのないのあなたたちに少しでも相続財産がいくのだからいいでないか」と言いましたが、HさんとIさんは納得しませんでした。
結局、HさんとIさんには法定相続分である8分の1をそれぞれに渡す遺産分割が成立しました。
今回は、何が問題だったのでしょう?
それは、Aがきちんと遺言を作成していなかったことです。Aが遺言さえ作成しておけば、BはHとIに何も言われずに済んだのです。
ただ、BからAに向かって遺言を作成して欲しいとは言いづらいものです。Aから率先して遺言を作成したいとBに伝えるべきだったのではないでしょうか。公正証書遺言を作成している時間がなければ自筆証書遺言でも構いません。
「生前に財産を私にくれると言っていた」だけでは、その通りに遺産分割できるとは限りません。
きちんと意思を形にして残しておくことが大切です。
争いが起こってからでは、解決が難しくなります。
相続についての聞いてみたいことや不安なことがあれば、お気軽にお問い合わせ下さい。
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