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- 相続
- 遺言は訂正・撤回ができる?
遺言のご相談を受ける際によく伺う質問に
「遺言でA銀行の口座は長男に相続させると書いたら、A銀行からお金を下ろしたらダメなの?」
があります。
答えは、お金を下ろしても大丈夫です。
遺言を作成したから自身の財産を自由に使用できなくなることは、一切ありません。
それでは遺言の撤回について、法律はどのように規定しているのでしょうか?
第1022条 (遺言の撤回)
- 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
第1023条 (前の遺言と後の遺言との抵触等)
- 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
- 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
- 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
第1025条 (撤回された遺言の効力)
- 前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。
となっておりますが、もう少し分り易くします。
① 抵触遺言による撤回(民1023条1項)
例)遺言「A土地を長男に相続させる」を作成した後に、遺言「A土地を次男に相続させる」を作成した場合
遺言の内容が、重複する場合は、後からの遺言の内容が有効となります。
② 遺言内容と生前処分が抵触(民1023条2項)
例)遺言に「A銀行の口座は長男に相続させる」としたが、遺言者が生前に全て使用した。
遺言者の生前の行為により、遺言内容を実現できませんが、 これは遺言の撤回に該当します。
③ 遺言者が故意に遺言書又は遺贈目的物を破棄(民1024条)
例)「A土地は長男に相続させる。B土地は二男に相続させる。C土地は三男に相続させる。」を作成した後に、遺言者自身が「C土地は三男に相続させる。」部分を破いて捨てた。
遺言者が自らの意思で遺言書を破棄した場合は、その部分は遺言の撤回に該当します。
④ 遺言の撤回の撤回(民1025条)
例)①遺言が後で作成された②遺言により撤回したが、更に後に作成した③遺言で②遺言を撤回したとき。
上記の場合でも、原則①遺言は復活しません。
遺言を作るのには、気力と労力が必要となります。遺言について、何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
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