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所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が成立

2018年6月12日

所有者が分らない土地の増加に伴い、公共事業の推進等の様々な場面において事業実施の障害となっている。
そこで、所有者不明土地を円滑に利用仕組みをする為、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が2018年6月3日成立し、2019年6月までに施行される予定だ。
日経記事

本法律の概要は3点あります。

所有者不明土地を円滑に利用する仕組み

①国・都道府県知事が事業認定した事業について、収容委員会に代わり都道府県知事が裁定できる(所有権の取得)
→審理手続きを省略、権利取得裁決・明渡裁決の一本化が可能となった。
②都道府県知事が最長10年の利用権を設定し、公園などの地域福利増進事業目的で利用できる(利用券の設定)
→最長10年ではあるが、異議がない場合は延長も可。

所有者の探索を合理化する仕組み

①土地の所有者の探索のために必要な公益情報について、行政機関が利用できる制度を創設
②長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設

所有者不明土地を適切に管理する仕組み

所有者不明土地の適切な管理ために特必要がある場合、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度創設

今後の課題

これらの政策により、一部の所要者不明土地問題が解決することは間違いない。しかし、所有者不明土地は九州本土の面積より広いとされており解決には程遠い。

所有者不明土地問題が発生する理由は2点ある。

①相続登記が任意の為、死者名義の土地が発生する
②相続登記をしないのは、不必要な土地のため(=できれば土地の所有権を放棄したい)

①に関しては、現在「相続登記の義務化」が検討されており、法定相続登記をいれるだけであれば、クリアすべき課題は登録免許税の負担だけと考えられる。
相続登記義務化後は、まず法定相続登記を入れ、その後に、遺産分割協議をし、本件土地を相続する人に移転登記を行うのではないだろうか。

問題は②だ。売却もはできないどころか、贈与もできない、それどころか管理費までかかる土地は、誰も相続したくない。そういう土地は、自治体も寄附を受け付けない。
その結果、所有者不明土地が九州本土の面積より広くなったといえる。
抜本的解決には、所有権放棄を認めるしかないと考えるが、そうなると誰がその土地を管理するか、管理費用は誰が負担するのかだ。
当然当該土地の自治体が管理するしかないと考えるが、管理費用は結局税金だ。
しかし、ここで手をこまねいていては、どんどん所有者不明土地が拡大する一方だ。
政府が自治体に補助金を出してでも、土地所有権の放棄を認める方向に議論を持って頂きたい。

土地は財産ではあるが、人口減の世にとっては、一部の除いて負動産になっていることは間違いがない。

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