不動産に関する権利の変動(所有権の移転など)は、登記することによってはじめて第三者に主張できるからです。実際に権利があっても登記しておかないと、他人に自分の権利を主張することができません。(これを登記の対抗力といいます)
例えば不動産の所有者が、AさんとBさん2人に別々に売買した場合、AさんとBさんとの関係では、先に登記した方が他方に自分の不動産の所有権を主張できます。なお、登記ができなかった方は、不動産を取得することができず、売主に損害賠償を請求することになります。
不動産登記には大きく分けて2つのことが記載されています。
■不動産の物的状況(表題部)
例えば、「この不動産は私が所有しています」と言ったとしても、「この不動産」はどこにあって、どのようなものか他人には分かりません。そこで、建物なら①所在(建物のある場所)②家屋番号③種類(居宅、工場など)④構造(木造、鉄筋など)⑤床面積で特定します。
また、土地なら①所在(土地のある場所)②地番③地目(宅地、畑など)④地積で特定します。
■不動産の権利状況(権利部)
当該不動産について、「誰が所有しているのか」「誰が担保権(抵当権等)を設定しているか」等を表示しています。この登記をすることにより、「この不動産は私のものです」「この不動産に私が担保を設定しています」と第三者に主張できることになります。
■法定費用
不動産登記するには、登録免許税という税金がかかります。この税金は、誰が申請しても必ず発生する法定費用で、細かい規定があります。
代表的な登録免許税
所有権移転(相続):不動産評価額の0.4%
所有権移転(売買):不動産評価額の2%(土地のみ1.5%)
所有権移転(贈与):不動産評価額の2%
抵当権設定:債権額の0.4%
■司法書士費用
不動産登記の申請を司法書士に依頼すると、司法書士に対する報酬が発生します。こちらは自由に決められますので、司法書士によって価格差があります。
当事務所では、お客様に分かりやすいよう、できる限りホームページに費用を掲載しております。
登記のお見積もりは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
■登記は任意
一定の登記については申請が義務づけられていますが、一般的には、登記をするかどうかは任意です。
■登記をしなかったら
不動産を所有していたAさんが亡くなり、相続人B、C、Dの間で当該不動産はBが相続するという話し合いがまとまったので安心していたら、相続人の一人Cが相続登記をする前に亡くなってしまった、というケースです。このようなケースは意外と多くあります。この場合、相続人Bに相続登記をするためには、Cの相続人を含めて再度話し合いをしなければなりません。この話し合いがまとまらないうちにDが亡くなってしまったら、Dの相続人も話し合いに加えなければなりません。そうこうしている間に、Bが亡くなってしまったら…。
登記に期限はありませんが、登記をしていないばかりに余分な手続が増えてしまうこともあります。不動産を取得された場合は、お早目の登記手続をお勧めいたします。