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「合同会社」起業を後押し スタートアップが活用の記事について

2018年7月2日

7/1の日経記事に「「合同会社」起業を後押し スタートアップが活用」が掲載されていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3246838030062018EA4000/

私も仕事柄がら、株式会社・合同会社・一般社団法人等の法人設立の携わることは多くあります。
やはり株式会社の設立が一番多い印象です。
しかし、この記事によると、

法務省の登記統計によれば、17年に国内で設立された企業約11万8000社の23%が合同会社だった。18年は4月まででこれが24.8%まで高まっている。

とあり、私の印象とどうも違うようです。

気になりましたので、合同会社が設立できるようになった平成18年からの統計を調査してみました。

株式会社 合同会社 合  計
件数 占有率 件数 占有率 件数 前年比
H18 76750 95.8% 3392 4.2% 79962
H19 95363 94.0% 6076 6.0% 101439 +21477
H20 86222 94.1% 5413 5.9% 91635 -9804
H21 79902 93.3% 5771 6.7% 85673 -5962
H22 80535 91.8% 7153 8.2% 87688 +2015
H23 80244 89.8% 9130 10.2% 89374 +1686
H24 80862 88.1% 10889 11.9% 91751 +2377
H25 81889 84.9% 14581 15.1% 96470 +4719
H26 86639 81.4% 19808 18.6% 106447 +9977
H27 88803 80.0% 22223 20.0% 111026 +4579
H28 90405 79.2% 23787 20.8% 114192 +3166

若干日経の数字と違いますが、やはり合同会社を選択する企業は増加していることに間違いなさそうです。

なぜ合同会社を選択するのか?

上記日経記事には合同会社を選択した企業の下記の声がありました。

「少人数でスピード感をもって事業展開するのに最適だった」
「柔軟な投資判断ができる合同会社にメリットを感じた」
「上場しないなら合同会社のほうが自由」

確かに、出資者=経営者のパターンの法人では、株式会社であっても、合同会社であっても、あまり大差はなく、であればコストのかからない合同会社を設立する方が経済的合理性はあるといえます。

改めて合同会社の特徴

合同会社の特徴を知ることにより、株式会社と合同会社の判断基準にして頂ければと思います。

1)社員は全て有限責任社員
 ここでの「社員」は、合同会社の出資者を指します。つまり、出資者は、出資した金額以上の責任は負わない事です。(会社法576条4項、580条2項)これは株式会社も同様です。

2)合同会社の定款は、原則として社員全員の一致
 株式会社の定款は、株主総会での特別決議が必要となりますが、株主全員の一致までは求めていません。これに対し、合同会社では定款変更に全社員一致が必要となりますので、少額の出資者も保護されることになります。(会社法 585条1項、637条)ただし、定款で別段の定めをすることはできます。(会社法577条、637条参照)
 ※特別決議の要件:株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の「過半数」を有する株主が「出席」し、出席した株主の議決権の「3分の2」以上をもって行う決議(会社法309条2項)

3)「社員=業務執行権を有する」が原則のため、所有と経営が一致している。
 合同会社の社員は、原則として業務執行権を有し、また代表します。(会社法590条1項、599条1項)ただし、定款で別段の定めをすることもできます。(会社法590条1項、599条1項ただしがき)
 株式会社であっても、株主1名、代表取締役1名のいわゆる1人法人は数多くありますので、小さい会社ではあまり株式会社と違いが生じません。

4)社員は定款の絶対的記載事項
 合同会社の社員は定款の絶対的記載事項となります。(会社法576条1項4号)これに対し、株式会社は発起人(=設立時出資者=最初の株主)は、定款の記載事項とされています(会社法27条5号)が、設立後に新規に出資者を募集した場合であっても、定款に新株主は定款に記載されません。

5)法人が業務執行社員となれる
 株式会社では、法人は取締役になることはできません。(会社法331条1項1号)これに対して、合同会社では、法人が業務執行社員となり、代表社員となることができます。(会社法598条1項、599条1項参照)ただし、法人は現実に職務が出来ない為、自然人である当該業務を執行する社員を当該法人において選任しなければなりません。(会社法598条1項)

6)自己の持分を取得できない
 株式会社では、会社が自己の株式を所有することが認められています。これに対し、合同会社では、自己持分を取得することはできません。(会社法587条1項)

7)会社の機関・組織について規制がない
 株式会社では、会社法により機関(株主総会・取締役会・監査役等)の設置義務や規制がありますが、合同会社においてはこれら機関の設置義務や規制がありません。ただし、定款に規程する任意の期間としてこれらを設置する事は差し支えありません。(会社法577条)

8)設立のコストが少ない。
 株式会社の法定設立最低費用→約20万円(電子定款の場合)
 合同会社の法定設立最低費用→約6万円

9)業務執行社員及び代表社員の任期がない
 株式会社では、最長10年の役員任期がありますが、合同会社では任期の制限はありません。ただし、定款に任期の定めを設けることは可能です。

10)利益の配当が出資金額に関係なく定める事ができる
 株式会社では、出資比率に応じて利益配当されますが、合同会社では出資額に関係なく利益配当することが可能です。(会社法622条)

11)計算書類の公告義務がない
 株式会社は年に一回、計算書類の公告義務があります。(会社法440条)これに対し合同会社に計算書類の公告義務はなく、経費の節減ができます。

主要なものだけをピックアップしましたが、こんなに多くあります。
正直、一般の方にこれら全てを理解することは難しいと思われます。

株式会社を立ち上げたけど、やっぱり合同会社でも事足りた。
ということは多くあります。

会社設立にお悩みの方は、一度専門家にご相談してみては如何でしょうか?

武田事務所の合同会社設立のページ

 

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