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遺言執行者の指定をうけましたが、何をすればよいですか?

2017年10月4日

先日の記事でも記載しましたが、現在多くの方が遺言を作成されています。遺言を遺族に残すことはとても重要な事ですが、遺言作成が死亡後、その遺言の実現にむけて必要な行為をしていくことも、重要なことです。
いくら遺言をのこしても、遺言の内容が実現されなければ、絵に描いた餅になってしまいます。

遺言執行者とは

遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされています(民法1012条)。遺言は遺言者の死亡によって効力を発生しますので、効力発生時に遺言者は存在しておりません。そのため、遺言者に代わって遺言執行者が遺言の実現にむけて必要な行為をします。

遺言執行者の指定又は委託

遺言執行者は、遺言者に代わって遺言を実行する者ですので、遺言で指定すると決められています。また、遺言者自身で決めなくても、第三者に遺言執行者の指定を委託するこもできます。

(遺言執行者の指定)
第1006条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

遺言者の選任

遺言によって遺言執行者が定められていないときや、遺言執行者が就任を承諾しないとき等は、利害関係人は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる事ができます。

(遺言執行者の選任)
第1010条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

遺言執行者に対する就職の催告

遺言執行者は、遺言等で指定されるため、遺言執行者に指名された者が、その旨を承諾するかどうかわかりません。その為、相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に指名された者に対し、相当の期間を定めて、承諾するかどうかの催告をすることができるとされています。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第1008条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

遺言執行者の欠格事由

遺言で遺言執行者を指定しても、下記の者は遺言執行者となることができません(民法1009条)。

  • 未成年者
  • 破産者

なお、遺言作成時は未成年者であったり、破産者であっても、遺言者が死亡時に、成年に達している又は復権を得た場合は、遺言執行者となれる説が有力です。

遺言執行者の任務開始

  1. 遺言執行者は、その就任を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない(民法1007条)。
  2. 遺言執行者は、遅滞なく相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない(民法1011条)。
  3. 遺言が相続財産のうち特定の相続財産に関する場合には、その財産についてのみ適用されます(民法1014条)。
  4. 遺言執行者は、原則自分自身で遺言執行任務を行わなければなりません。やむを得ない場合のみ、第三者にその任務を行わせることができます(民法1016条1項)。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときはその限りではありません(民法1016条1項但し書き)
  5. 遺言執行者が数人ある場合は、その執行は過半数で決定します。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従います(民法1017条1項)。
  6. 遺言執行者の報酬は、相続財産の状況その他の事情によって家庭裁判所が報酬を定めます。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りではありません(民法1018条)

ここで特に重要な事は、「財産目録の作成」と「相続人への財産目録の交付」です。仮に、相続人へ「相続人への財産目録の交付」をしていない場合は、遺言執行者の義務違反となり、損害賠償請求される恐れもあります。他の相続人へ、相続した財産の内容を知られたくない要望も多いですが、法律通り、財産目録の交付することをお勧めいたします。

遺言執行者の解任・辞任

遺言執行者が任務を果たしてくれればよいですが、任務を怠る場合もあります。そのような解任正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求できるとされています(民法1019条1項)。
逆に、遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞任することができます(民法1019条2項)。遺言執行を承諾した者は、勝手に辞任できないこととなっています。

当事務所の特徴

当事務所では、遺言作成に加えて遺言執行者の就任することもサポートとしております。
遺言をこれから作成される方、遺言を既に作成されている方も、本当に遺言が実現するか不安と思いの場合は、お気軽にご相談下さい。

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