財産分与とは、夫婦が協力して築いた財産を離婚時に清算することです。この財産分与には主に二つの性質があります。
扶養的性質…離婚によって生活が出来なくなる恐れのある配偶者の生活の維持をはかるための分与。
■財産分与できる期間
離婚のときから2年以内に行う必要があります。(民768②ただし書)
■不動産の財産分与は要注意
財産分与では様々な財産を清算します。例えば金銭であれば簡単に分けられますので、金額の調整ができればすぐに財産分与可能です。
しかし、不動産が財産分与の対象となる場合は注意が必要です。
不動産はまず簡単に分けることができません。また不動産の時価がいくらのか?、ローンが残っているけどどうなるの?、税金はどうなるの?など多くの疑問点も出てきます。
この注意点をしっかりクリアにしておかなければ、後々トラブルに発展する可能性があります。
■登記は必ず
離婚協議によって、どちらかの一方が不動産を取得すると定めていても、登記名義の変更をしておかなけば、勝手に売却されたり、差押えされたりする可能性もあります。
口約束や書面での取決めがあっても安心せず、登記名義の変更を早急に行うことをお勧めします。
例)不動産は夫名義、不動産時価1,500万円、住宅ローン残高1,000万円
財産分与の対象となる財産は、当該不動産のみ
■売却して分割
売却益である500万円(実際は手続費用が発生します)を夫婦で分割します。
■夫のみが居住するには
仮に夫が住宅ローンを支払えなくなった場合、連帯債務者または連帯保証人である妻に請求が来ることとなります。 この場合は、不動産を売却することにより、住宅ローンが全額弁済できる可能性があります。
■妻のみが居住するには
例)不動産は夫名義、不動産時価1,500万円、住宅ローン残高2,000万円
他に財産がなければ、分与すべき財産がないこととなりますので、清算的財産分与請求権は発生しません。ただ、当事者間で残ローンの処理を含めた財産分与協議は可能です。このケースでは、不動産を売却してもローン全額を完済できないため、ローンが残ります。
■夫のみが居住するには
仮に夫が住宅ローンを支払えなくなった場合は、連帯債務者または連帯保証人である妻に請求が来ることになります。妻も支払えない場合は、不動産を手放すことになります。また、不動産を売却しても住宅ローンを完済できない場合は、その残りのローンを支払い続けることとなります。
■妻のみが居住するには
夫婦が居住する不動産を購入する際に、どちらかが主債務者となり、もう一方が連帯債務者または連帯保証人となる契約を締結することはよくあります。
この場合に、当事者間で連帯債務者または連帯保証人の責任を免除する旨の合意をしたとしても、第三者である金融機関に対する強制力はありません。
また、金融機関がこのような合意を承諾することはほとんどありません。
■対処方法
現在の連帯債務者または連帯保証人以外の第三者(親戚・知人等)を新たに連帯債務者または連帯保証人とします。ただし、この場合も金融機関の判断によります。
■支払いができなくなったら
主債務者が支払いができなくなった場合は、連帯債務者または連帯保証人に請求が来ることになります。連帯債務者または連帯保証人も住宅ローンの支払いが出来なくなると、当該不動産は競売または任意売却等で手放すことになります。また、不動産を売却しても住宅ローンを完済できない場合は、その残りのローンを支払い続けることになります。
■分与を受けた側
離婚を手段として贈与税、相続税の脱税を図るものと認めらるとき
注)離婚に対する慰謝料または特定の扶養を目的とする財産分与の場合は、課税されます。
課税されます。税額:固定資産評価額の2%
毎年固定資産税が発生します。税額:課税標準額×1.4%(標準税率)
■分与した側
Q1
対象の不動産が複数の法務局管轄にある場合はどうなりますか?
Q2
不動産評価額が5千万円ですが、費用はどうなりますか。
Q3
県外に不動産があるのですが、手続きできますか?
Q4
最初の相談の際には、何を準備すればよいですか?