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- 2人以上の代表取締役(複数代表)
2017.9.13公開 2018.9.7更新
株式会社の代表取締役は1名の場合が多いですが、2名以上を代表取締役とすることも可能です。
取締役会設置の有無により、取扱いが異なりますので注意が必要です。
取締役会設置会社の手続
取締役会設置会社では、取締役3名以上で、その中から代表取締役を選定します。
多くの会社では、代表取締役=社長となっております。
2名以上の代表取締役を置きたいとご相談いただく事例で、
「現社長が社長を退任し会長となり、取締役の中から後継社長を選ぶ予定だが、会長にも代表権を維持したい」が多くあります。
この場合は、下記手順に沿って手続を行います。
①株主総会により定款を変更
一般的な株式会社であれば、定款には「代表取締役1名を選定」する旨の記載があります。
今回は、代表取締役を2名設置したいので、この部分の変更が必要になります。
定款変更例
(代表取締役及び社長、会長)
第〇条 取締役会は、その決議によって代表取締役を選定する。
2 取締役会の決議により、代表取締役の中から取締役社長及び取締役会長を各1名を選定し、取締役の中から取締役副社長、専務取締役及び常務取締役を選定することができる。
3 取締役社長は、当会社の業務を執行する。
決議要件は特別決議となり、出席株主の議決権の3分の2以上が必要となります。
なお既に、代表取締役を複数名設置できるように定款がなっている場合は、定款変更手続きは不要となります。
②取締役会により代表取締役を選定
次に、取締役会を開催し、新たな代表取締役を選定いたします。
<事例>
前)代表取締役A
後)代表取締役A・B
とする。
取締役会議事録例
第1号議案 代表取締役1名選定の件
議長は、代表取締役1名を選定したい旨を述べ、選任方法を諮ったところ、議場より議長の指名に一任したいとの発言があり、一同これを承認したので、議長は下記の者を指名し、その可否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。なお、代表取締役Aを取締役会長、代表取締役Bを取締役社長とする。
代表取締役 住所 〇〇 氏名 B
これにより、Aは代表権を持った会長、Bは代表権を持った社長となります。
③登記申請
<必要書類>
- 取締役会議事録(「Aは法人実印、その他出席役員は認印で押印」又は「出席役員全員が個人実印を押印」)
- Bの就任承諾書(Bの個人実印を押印)
- Bの印鑑証明書
- B以外の印鑑証明書(取締役会議事録に出席役員全員が個人実印を押印した場合のみ)
- 印鑑(改印)届書(必要であれば)
<登録免許税>
金1万円
ただし、資本金の額が1億円を超えている会社は金3万円となります。
取締役会非設置会社の手続
取締役会非設置会社は、そもそも取締役全員に原則「代表権」があります。
しかし、多くの会社では定款規定により「代表権」を持つ取締役を1名とし、その他の取締役の「代表権」を制限しております。
会社法の規定
原則 取締役全員が「代表権」を持っている
例外 取締役の内1名しか「代表権」を持っていない
下記手順に沿って手続を行います。
①株主総会により定款を変更
※代表取締役を2名以上選定できる規定に変更
定款変更例
(代表取締役及び社長、会長)
第〇条 当会社の取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選により代表取締役を1名以上定める。
2 代表取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選により、1名を取締役社長、1名を取締役会長を選定する。
3 取締役社長は、当会社の業務を執行する。
決議要件は特別決議となり、出席株主の議決権の3分の2以上が必要となります。
なお既に、代表取締役を複数名設置できるように定款がなっている場合は、定款変更手続きは不要となります。
②取締役の互選により代表取締役を選定
取締役会非設置会社の代表取締役の選定方法は5通りありますが、今回は一番一般的な「取締役互選による代表取締役選定」のパターンを取り上げます。
次に、取締役互選により、新たな代表取締役を選定いたします。
<事例>
前)代表取締役A
後)代表取締役A・B
とする。
取締役決定書議事録例
第1号議案 代表取締役1名選定の件
議長は、代表取締役1名を選定したい旨を述べ、選任方法を諮ったところ、議場より議長の指名に一任したいとの発言があり、一同これを承認したので、議長は下記の者を指名し、その可否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。なお、代表取締役Aを取締役会長、代表取締役Bを取締役社長とする。
代表取締役 住所 〇〇 氏名 B
これにより、Aは代表権を持った会長、Bは代表権を持った社長となります。
③登記申請
<必要書類>
- 取締役決定書(「Aは法人実印、その他出席役員は認印で押印」又は「出席役員全員が個人実印を押印」)
- Bの就任承諾書(Bは認印で押印可)
- 印鑑証明書(取締役会議事録に出席役員全員が個人実印を押印した場合のみ)
- 印鑑(改印)届書(必要であれば)
<登録免許税>
金1万円
ただし、資本金の額が1億円を超えている会社は金3万円となります。
実印登録について
代表取締役を2名以上置く場合、会社の印鑑(法人実印)は、代表取締役の中から1名が印鑑を登録、又は各代表取締役がそれぞれが印鑑を登録、どちらでも可能となっております。
ただし、各代表取締役がそれぞれが印鑑を登録場合、同じ印鑑を登録することはできず、異なる印鑑を用意して各代表取締役でそれぞれが印鑑登録することになります。
例)A・Bが代表取締役
パターン1 Aのみが印鑑を法務局に届け出る。法人の印鑑証明書にはAの氏名が記載される。
パターン2 A及びB双方が印鑑を法務局に届け出る。AとBの印鑑は別々にする。
2人以上の代表取締役を置く場合のメリット・デメリット
メリット
・代表取締役の1名が長期期間不在であっても、他の代表取締役により滞りなく業務が執行できる。
デメリット
・代表取締役間の意見の対立により、会社の方針が定まらないこともある。
・各代表取締役に契約権限がある為、ある代表取締役が単独でした契約も有効になる。
当事務所の特徴
司法書士法人武田事務所は、比較的小規模の事業様の役員変更を数多く手掛けております。
会社の役員変更をお考えの方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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